日本版ミュージカル『モーツァルト!』の詳しいあらすじと全曲紹介です。ネタバレ含みます。
第1幕
プロローグ
1809年11月18日 ウィーン/聖マルクス墓地
モーツァルトがなぜ天才なのか、科学的解明のためモーツァルトの頭蓋骨を調べたいドクトル・メスマーは、モーツァルトの妻だったコンスタンツェに案内料を払い頭蓋骨を発掘しようとする。
「マダム・モーツァルト」と呼ばれ、「ニッセン。今の私はモーツァルトではなくニッセン」と答えるコンスタンツェ。
コンスタンツェに案内されたドクトル・メスマーは「(モーツァルトは)星のように地球に落ちてきた」「神が遣わした子供ーヴォルフガング・アマデウス」と叫ぶ。
すると時が代わり、ウィーン宮廷で演奏するヴォルフガングの姿が現れる。
場所は、モーツァルトが葬られたザンクト・マルクスの共同墓地。正確な埋葬位置は不明。
コンスタンツェはモーツァルト死後ゲオルク・ニコラウス・ニッセンと再婚。彼はモーツァルトの熱烈ファンで、最初にモーツァルトの伝記を書いた人物です。
奇跡の子
1768年5月 ウィーン/メスマー邸
少年モーツァルト(ヴォルフガング)は、ウィーンのドクトル・メスマー邸で、父レオポルトと姉ナンネールが見守る中、貴族に演奏を披露している。
父レオポルトは我が子がいかに才能に恵まれているか紹介。目隠しをした息子に演奏もさせる。貴族たちもヴォルフガングを「神の申し子」「ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト!※」と称える。
しかし父はヴォルフガングがもうじきただの大人になってしまうかもしれないと懸念。このまま子供でいてくれたなら…
疲れをみせる弟に気付く姉のナンネール。
レオポルトは口にする。「私の子は天才だ。天才は感じやすい」
息子のために、この才能にと、貴族たちから報酬を集める。
曲タイトルの「♪奇跡の子」は、ウィーンオリジナル版の「♪Was fuer ein Kind!(=なんという子だ!)」と同意味ですが、使用メロディーはウィーン版と異なります。日本版は2幕ラスト「♪モーツァルト!モーツァルト!」のメロディーがここで使われています。(キーは異なります。)ちなみに韓国版(2020)の使用メロディ―はウィーンオリジナル版と同じでした。
※アマデウスは、ラテン語で「神に愛される」の意味。ヴォルフガングの洗礼名ヨハネス・クリュソストムス・ヴォルフガングス・テオフィルス・モーツァルトの「テオフィルス」がギリシャ語で「神に愛される」を意味し、ヴォルフガング自身がアマデオ、アマデと使うことを好みました。
♪ピアノ・ソナタへ長調(KV280)
人は忘れる
レオポルトはヴォルフガングが小さな箱を抱えているのを目にする。
「それは、その子のものよ」「生まれた時からアマデのものです」ヴァルトシュテッテン男爵夫人が言う。
「あなたの息子は天才よ」と伝える男爵夫人に、「私が作り出し磨き上げた」と答えるレオポルト。
レオポルトが小箱を渡すようヴォルフガングに伝えると、ダメだという男爵夫人。
そして「あなたが持っているのは黄金よりもまばゆく、光よりも崇高なもの」とヴォルフガングに言い聞かせる。
「人は忘れる。時が流れて残るものは 目に見えないものだけ」
「水に流されず耐え忍べれば、神様に愛され、光を放つ」
赤いコート
1777年 ザルツブルク/タンツマイスターハウス(モーツァルトの家)
9年後のザルツブルク。青年になったヴォルフガングはザルツブルクで音楽活動をしている。
伴にいるのは彼の才能「アマデ」。
マリア・テレジアからもらった赤いコートは古くなり、以降は地味な衣装を着ていたが、再び貴族のみ許された赤いコートを着る。
ヴォルフガングをみて「あなたはプリンス」と喜ぶ姉ナンネール。
「また演奏旅行へいこう」はしゃぐヴォルフガング。
彼はザルツブルクのコロレド大司教に媚びる毎日に嫌気がさし、子供時代のように広い世界に演奏旅行に行きたい。
しかし父レオポルトは「貴族だけが許されたそのコートを脱げ」、「大司教のために曲を書け」と命じる。
レオポルトが育てた、かつての神童の姿はない。
自由を求めるヴォルフガングに、大司教のご機嫌に逆らっては生きていけない、お前の生きる道は私が決める、とヴォルフガングの言い分を認めない父。
僕こそ音楽(ミュージック)
なぜパパは僕のことをわかってくれないのか?
苛立つヴォルフガングにペンを差し出し作曲を促すアマデ。
そしてヴォルフガングは歌う。
僕こそ音楽を生み出す存在…
光と影
メジャーとマイナー
フォルテにピアノ
・・・全てを音楽にのせ語ろう
無礼で礼儀知らずだけど、そのままの僕を愛して欲しい
「僕こそ音楽(ミュージック)」だ。
このナンバーは、1777年11月にヴォルフガングが父に充てた次の手紙から引用しているのではないか?と思います。
「僕は詩的なものは書けません。詩人ではありませんから。僕は表現を巧みに描き分けて影や光を生み出すことは出来ません。画家ではないですから。身振りで感情や考えをあらわすこともできません。踊り手ではないですから。でも音でならそれが出来ます。音楽家ですから。」
何処だ、モーツァルト!
ザルツブルク/大司教レジデンツ(居城)の大広間
領主コロレド大司教のもとへ自作の曲を持参するヴォルフガング。
「天国の調べです。猊下でも聴いたことのない」
「皇帝陛下でも聴かせようか迷う」
無礼な態度で接するヴォルフガングに怒るコロレド。
ヴォルフガングも、コロレドの自分への扱いに怒り爆発。
息子をたしなめるレオポルト。しかし「音楽じゃ僕は貴族と同等。あなたの僕(しもべ)じゃない」とヴォルフガングは譲らない。
大司教はヴォルフガングにクビを言い渡す。
しかしモーツァルト親子を追い出した後、部下のアルコ伯爵に楽譜を拾わせ、ヴォルフガングの譜面を読みその才能に驚く。
♪セレナード第6番 二長調(KV239)
私ほどお前を愛するものはいない
ザルツブルク/アーケード小路
父レオポルトは息子の身勝手さと、気の短さに怒る。
今まで私が積み上げてきたものを壊す気か?
ヴォルフガングは、ザルツブルクでは僕の才能は潰されてしまう。ここを離れて壮大なコンチェルトにオペラ、シンフォニーを書く!と訴える。
「私ほどお前を愛するものはいない」「お前には私が必要だ」心配を口にするレオポルト。
まァ、モーツァルトの娘さん!
ザルツブルク/野菜市場
市場に訪れたナンネール。知り合いから、弟が大司教に逆らって追い出されたのか問われる。
追い出されたのではなくヴォルフガングから言い出したこと。
弟は母親とマンハイムで王様に気に入られている。
弟が呼んでくれるはずと希望を持つナンネール。
しかし現れたアルコ伯爵から「大司教が裏で手を回せばモーツァルトは全て終わる」と告げられる。
2019年に新演出になりこのシーンが短くなりました。アルコ伯爵にやりこめられたのちナンネールが元気に歌うシーンが新演出ではカット。
マトモな家庭
1777年11月 マンハイム/ウェーバー家の居間兼台所
貧乏生活から抜け出したいウェーバー一家。
「歌えるくせにチャンス逃す」「なまけもの」・・・妻のセシリアは自分の娘たちに不満。
一家は、マンハイムを訪れていた作曲家モーツァルトに目を付ける。
ヴェーバー夫妻の娘で歌手のアロイズィアにヴォルフガングが惹かれたのをみて、2人を近づける。
ウェーバー一家「私たち家族の幸せを(モーツァルトに)託してみよう」
心を鉄に閉じ込めて
ザルツブルク/タンツマイスターハウスの音楽堂
息子を旅に出してしまい、自分を責めるレオポルト。未熟者なヴォルフガングに不安はつきない。
運命は私に味方しなかった。お前は勝てる。私はお前に賭けよう。
強くなれ、ずる賢くなれ…感謝するんだ、自分の才能に。私の自慢の息子となるように
韓国版のモーツァルト!(2020)では、レオポルトの側に幼いヴォルフガングが着ていた赤いコートがあり、レオポルトがそのコートに向かって語りかけます。参照:https://musical-tea.com/mozart-korea2020/
残酷な人生
1778年7月3日 パリ/コンサートホール~パリの宿
パリでの公演。しかし人が集まらず公演は失敗だった。
さらに一緒に来た母をパリで亡くしてしまう。
絶望の淵に立たされるヴォルフガング。ヴォルフガングの傍らでは、作曲を続けるアマデの姿がある。
モーツァルトのピアノソナタは明るく軽快な曲(長調)が多いのですが、1778年に突然、暗く影に追われているかのような短調の曲が作られます。その陰には、母の死があったと言われています。関連記事:母の死後、新たな境地へーピアノソナタ第8番イ短調K.310
韓国版(2020)では、ヴォルフガングが止めようとするもアマデは作曲を続けます。母の死という不幸ですら芸術に変えざる得ない、恐るべき才能の姿が印象的でした。
♪ピアノ・ソナタ ハ短調(KV457)
居酒屋
1780年ザルツブルク/居酒屋
パリから一文無しでザルツブルクに帰ってきたヴォルフガングをからかう市民たち。
チョッピリ・オツムに、チョッピリ・ハートに
ザルツブルクに巡業中だった劇作家で俳優、劇場支配人のエマーヌエル・シカネーダーが現れ、ヴォルフガングと意気投合。芸術は大衆のために身近であるべきだというシカネーダーと、ヴォルフガングはまた会う約束をする。
星から降る金
ザルツブルク/大聖堂のパイプオルガンの前
ヴォルフガングは、ザルツブルクへ帰郷後父レオポルトのとりなしでザルツブルク宮廷楽団に再就職。オルガン奏者として復帰していた。
パイプオルガンの前で女性といちゃいちゃするヴォルフガング。
そこへ「ヴァルトシュテッテン男爵夫人がお話しがあるそうだ」とレオポルトがやってくる。
ヴォルフガングをウィーンへ連れて帰り世に出したい、とヴァルトシュテッテン男爵夫人。
しかし息子に何が必要か自分が一番わかっている、父親だから。と反対するレオポルト。
夫人はおとぎ話を話す。
息子を守るため城の塀を高く築き、「ここより他に良い国はない」と息子に言い聞かせた王様。
王様は息子を愛していた。
夜の森で憧れの精が王子にささやく「旅立て」と。
なりたいものになるため、望むように生きるなら
星からの金を求め一人旅に出るのよ。
愛とは解き放つこと
愛とは離れてあげること
自分の幸せのためでなく
涙こらえ つたえよう
♪オルガン・ソナタ(KV336)
私ほどお前を愛するものはいない(リプライズ)
息子のウィーン行きに反対するレオポルト。かつての旅行で金と信頼、そして母の命まで失ったとヴォルフガングを責める。
一方、アマデはヴォルフの手をひっぱり連れ出そうとする。
ヴォルフガングは叫ぶ「ザルツブルクなんて大嫌いだ」
レオポルト「私ほどお前を愛する者はいない。世渡りには子供すぎる。この私が必要だ。」
ナンネール「パパには経験がある。家族を守ってくれる。」
ヴォルフガング「時がきたら僕は行く。ここから出ていくぞ。」
レオポルト「家族の分裂、許しはしない」
ヴォルフガングは、ウィーンへと旅立つ。
神が私に委ねたもの
ウィーンへ向かうコロレドの馬車
ウィーンへ向かう馬車でコロレド大司教とアルコ伯爵。
ヴォルフガングがザルツブルクから離れても監視を怠らない大司教。他の領主にモーツァルトをとられないか気にしている。
ウィーンの人々はザルツブルクの天才に熱狂するだろう。その熱狂は全て私(コロレド)のものだ。
全てがイカサマ/セシリアとヴォルフガング
ウィーン/プラター公演の見世物小屋
ヴォルフガングはシカネーダーとウィーンのプラター公園を訪れる。そこでマンハイムで出会ったウェーバー一家に再び会う。
セシリアとヴォルフガング:セシリア、シカネーダー、観衆
並みの男じゃない
大司教の館に泊っているというヴォルフガングに「うちにくれば?」と誘うウェーバー一家。
ヴォルフガングを尾行していたアルコ伯爵が出てきて、大司教様の館から出るのはまかりならんと禁じる。
しかしアルコ伯爵は美女の人体切りショーの箱に閉じ込められる。
ヴォルフガングはアルコ伯爵に向かって言う。
「コロレド様にも ケツむける」「僕は並みの男じゃない!」
このままのあなた
ヴォルフガングとコンスタンツェ。近づく2人。
「このままの あんたが好きなのよ」
ヴォルフガングは、ありのままの自分を認めてくれたコンスタンツェに惹かれる。
終わりのない音楽
ザルツブルク/タンツマイスターハウス
ザルツブルク。ヴォルフガングの帰郷を大司教に頼んできた、とナンネールに伝えるレオポルト。
ヴォルフガングは大司教の館から出てウェーバー家に住み、皇帝陛下の前で演奏する機会を自らふいにしていた。
「家族が揃えば、昔通り上手くいく」と信じるレオポルト。
一方、父親の抱く幻想は崩れ去っていることを知っているナンネール。
しかし愛する父親にそのまま伝えることはできない。
終わりのない音楽がこの世にあるかしら
大人にならない子供がいるかしら
かつて弟と同じように「神の子」と呼ばれ愛されたナンネール。
もし自分が男なら音楽を続けた。
しかし父のまなざしは息子に注がれている。
ナンネールは家でピアノを弾くだけ。自分に自由はないーーー
自らの人生や幸せを弟に託したナンネールの複雑な気持ち。
父レオポルトも言う。「息子に全てを託し、彼を通し生きよう」
僕はウィーンに残る
1781年4月 ウィーン/ドイツ館のコロレドの官邸
演奏会が中止になったヴォルフガング。コロレドのせいだとウィーンの大司教の館に乗り込む。
「ザルツブルクに帰れ!」大司教が命じるが「僕はウィーンに残る!」とヴォルフガングは応戦。
コロレド「お前はウィーンで野垂れ死ぬ。演奏させぬよう手を打った」
ヴォルフガング「僕は目指す 芸術家を 貴族や父に背を向けて」「誰の奴隷でもない 僕はウィーンに残る」
ヴォルフガングは、アルコ伯爵に尻を蹴られ追い出される。
「お前はおしまいだ」と言われるが「いや、始まりだ。ついに自由になった」と叫ぶヴォルフガング。
ヴォルフガングはコロレドと決裂し、ウィーンで史上初のフリーの音楽家になります。
影を逃れて
ウィーン/街路
自由になり喜ぶヴォルフガング。
しかしもう一人の自分「アマデ」が自分についてこない。
アマデが持つ小箱を取り上げるが、アマデがそれを許さず返す。
コロレド、レオポルトーー自分を庇護していたものから自由になるとはどういうことか。
「どうすれば自分の運命を拒めるのか」「もし自分の陰から逃げられるのなら」
(コーラス)
お前の影に 潜んだ悪魔
子供の姿で
お前の全て支配しようとする
お前は生きる その子の為に
生命捧げて
ヴォルフガングの腕にアマデがペンを突き刺し、ヴォルフの血で作曲を続ける。
第2幕 次のページ
2幕プロローグ
1809年11月18日 ウィーン/聖マルクス墓地
再びヴォルフガングが葬られている共同墓地。
研究に役立てたいからと、コンスタンツェに話を聞こうとするドクトル・メスマー。
ウィーンでのヴォルフガングの様子を語る。
ここはウィーン
1781年10月 ウィーン/カジノ・ツア・メールグルーベ
ウィーンで評判になり始めるヴォルフガング。
シカネーダー、そしてヴァルトシュテッテン男爵夫人はじめ貴族たちは完璧な音楽・天才と称賛する。
一方、サリエリのように人気は今だけと辛辣な声を挙げるものもいる。
ここはウィーン。背中にナイフを刺して手にキスをする。
一度成功したら後は潰される。死んだらもてはやされる。
モーツァルト肯定派と否定派で衣装の色が異なる。肯定派の衣装は金色系、否定派は銀色系。靴も同系色で揃えている。(2021年5月ミュージカルウィークでの話より)
♪ピアノ・コンチェルト第24番 ハ短調(KV491)
愛していればわかりあえる
ウィーン/バルコニー付の部屋
作曲を続けるアマデの横でコンスタンツェのことばかり想うヴォルフガング。そこにコンスタンツェが現れる。
お金を盗んだと養父のトーアヴァルトに殴られたコンスタンツェは、家を出てきた。
ヴォルフガングとコンスタンツェの姿をみたアマデはその場を去る。
愛の巣
2人のところへコンスタンツェの母セシリアと義父のトーアヴァルトが現れる。
「娘がもてあそばれた」とヴォルフガングに結婚を強要。コンスタンツェの母セシリアを扶養する誓約書を結ばせ、背いたら親子に慰謝料を払う約束をさせようとする。
警察を呼ぶと脅されたヴォルフガングは誓約書に署名。
セシリアとトーアヴァルトはコンスタンツェを連れて出ていく。
愛していればわかりあえる(リプライス)
1人になったヴォルフガング。アマデが再び作曲を続ける。
しかしコンスタンツェは、誓約書を手に持ちヴォルフガングの元へ戻り、「あんたを信じている」と誓約書を破り捨てる。
アマデは作曲を止める。
プリンスは出ていった
ザルツブルク/タンツマイスターハウス
ザルツブルクのナンネール。
プリンスは出て行った。残されたプリンセス・・・
結婚したい相手がいるナンネールだが、貧しい相手だったため父親から反対されている。
自分の結婚資金は弟に使われてしまった。返してほしい。私の人生を。
ナンネールの嘆きをみてレオポルトは歌う。「ナンネールは毎日泣いている。」
「お前は家族を見捨てたままなのか。お前の居場所はここだけだ。お前のほか この家族を救えるものはいない」
実際、ナンネールは自分の選んだ結婚相手を父に反対され、父のすすめで15歳年上の子持ちの男性と結婚します。
友だち甲斐
ウィーン/ヴォルフガングのピアノ室
父からの手紙を読み「違う。僕は家族を見捨てたりはしない」とヴォルフガング。
演奏会の収入を姉の結婚資金に送ろうと考える。
そこへシカネーダーなどの友人たちが訪れ遊びに送る。
お金を貸してと言うが、姉に送るからと断るヴォルフガング。
しかし新しいコンチェルトが出来、興奮して友人にそのお金を与えてしまう。
友だち甲斐に出ている悪友3人は実在の人物。フランツ(魔笛のザラストロ役)、ベネディクト(魔笛のタミーノ役)、ヨハン(魔笛の指揮者)※2021年おけぴ貸切公演のまくあいマップ参考。まくあいマップはおけぴ公式サイトで確認できます。会員登録後(無料)で観ることができます→https://okepi.net/kangeki/1124
ダンスはやめられない
ヴォルフガングが出かけた後の、散らかった部屋に帰宅したコンスタンツェ。
芸術家の夫を支えなくてはいけない。
彼にインスピレーションを与えるのは私。
しかし望む人生を生きていない空虚さがある。
ダンスしている時だけ幸せになれる。
毎晩、どこかへ踊りにゆく。
やめられない。
神よ、何故許される
ザルツブルク/レジデンス(居城)の芸術作品陳列室
ザルツブルク。コロレド大司教はモーツァルトの音楽の才能にあらためて驚嘆。自らが探求し続けてきた神の摂理が、音楽の魔術に敗北するとは。
アルコ伯爵に命じ、父レオポルトを呼ぶ。
モーツァルトに恩赦を与えるからザルツブルクへ連れ戻せと命令。
しかし父レオポルトは答える。
「愚息はそのようなお慈悲には値しません」
「新たなる奇跡の子をご覧いれましょう。」
「孫のレオポルトです。息子同様、私の血をわけています。」
「私は天才を一人、この手で創り出しました。いつでも天才を作ることができます。」
自分の欲しい「モーツァルト」ではないと、コロレドはレオポルトは引き下がらせる。
天才は人間が作れるものではないとコロレドは分かっていた。
傲慢で無礼な男が作る音楽に、どうしようもなく惹かれる自分に気づく。
♪歌劇「皇帝ティトの慈悲」序曲(KV621)
ウィーンからの手紙
1785年3月 ザンクト・キンゲン/ナンネールの新居
結婚したナンネール。新居でウィーンを訪れたレオポルトからの手紙を読む。
弟の成功を喜ぶが、ヴォルフガングの稼ぎを聞いた夫は嫌味を言う。
※歌なし
ナンネールの夫の名前はベルヒトルト・フォン・ゾンネンブルク。父レオポルトのすすめで結婚しています。ナンネールの15歳年上で、2人の先妻と死別した子持ちの男性でした。
ウィーンのレオポルト
ウィーン/ブルク劇場の舞台裏
ウィーンへやってきたレオポルト。
息子は皇帝からブラボーと言われ、多くの喝采を受けていた。
「天才を息子にもってさぞ誇らしいでしょうね」ヴァルトシュテッテン男爵夫人に問われ、
「確かに誇らしくはあります。しかし、満足できません。私は天才をこの手で育てた。奢り高ぶり才能と金を浪費している自覚さえない」と答える。
「派手なふるまいをするのは、あなたに1人でやっていけることを認められたいのよ」
たしなめる男爵夫人。
自分が成功すれば父は喜んでくれるはずと信じていたヴォルフガング。
しかし父から返ってきたのは、曲の複雑さとヴォルフガングのふるまいに関する厳しい叱責。
「息子は消えてしまった。お前の顔など死ぬまで見たくない」
思ってもいなかった父の拒絶を受けたヴォルフガング。
♪ピアノ・コンチェルト第9番 変ホ町長(KV271)
私ほどお前を愛するものはいない(リプライズ)
私以外にお前を守れるものはいない・・・
愛情かエゴか
レオポルトは繰り返す「私ほどお前を愛するものはいない」
何故愛せないの?
公演が成功し父も喜んでくれると思っていた。でも父は認めてくれなかった。
なぜ、このままの僕を愛せないの?
僕の話す言葉はパパの耳に届かない。
何故パパが去ったのか 僕にはわからない。
もう守ってはもらえないだろう。子供のようには。
思い出だけ抱きしめ生きていく・・・
でも答えて欲しい
なぜ愛せないの?
このままの僕を
乾杯!ヴォルフガング
ウィーン/ラントシュトラーセの家
ヴォルフガングのいない家にたたずむコンスタンツェ。
「フィガロの結婚」の成功を2人で祝おうと話していたのに、ヴォルフガングはいない。成功すればするほど距離が遠くなる。
あなたのインスピレーションになれない
踊れないパートナーみたい
愛していればわかり合える
互いの奥深く触れ合えば
信じていたのよ 2人の愛だけは
色褪せることはないと約束したわ
何があろうと・・・
「誇り高く生きる」
コンスタンツェを見つめていたヴォルフガングは妻のもとへ近寄る。
仮面舞踏会[誰が誰?/謎解きゲーム/誰が誰?(リプライズ)]
ヴォルフガングの夢の中。アマデの合図で仮面の人々は歌う。
誰を信じる?
褒めて嘲る全て芝居かりそめ
真実なんてない
「謎解きゲーム、僕は得意」自信ありげなヴォルフガング。
「でも一つだけ解けない謎がある。それは自分の人生の謎解きだ」
「目には見えなく、言葉で言えない、壊れやすくて移ろいやすい
愛情ではなく、才能ではなく、成功でもない何か」
誰を信じてよいかわからなくなるヴォルフガング。
仮面をつけた父親から「私が与え、受け取ったのに壊してしまった。二度とは手に入らない・・・その答えは幸せだ」と見捨てられ、
ヴァルトシュテッテン男爵夫人からは「もうあなたは大人でしょ。人はいつか親から離れなくてはならないの」と言われる。
袋小路に陥ったヴォルフガングは、「パパ!」と叫び、目を覚ます。
ヴォルフガングをじっと見つめるアマデの姿がある。
謎解きゲーム:ヴォルフガング、コロレド大司教、レオポルト、仮面の人びと
誰が誰?(リプライズ):仮面の人びと
借金の手紙
ウィーン/ラントシュトラーセの家
ウェーバー一家が金をせびりにくる。ヴォルフガングに無理矢理借金を依頼する手紙を書かせようとするが、「もう利用されるのは嫌だ」ヴォルフガングは拒否する。
パパが亡くなったわ
ナンネールが現れ、パパが亡くなったと伝える。
ナンネール「何故パパを傷つけたの 全て与えてくれたのに
パパを裏切り 私を裏切った 決して許さない」
打ちのめされるヴォルフガング。
コンスタンツェ「あなたを許さないまま亡くなったけど気にしないで
自分の道を進んで、父親を亡くして、人は大人になるのよ」
父への悔悟
父とわかりあえる時がくることを僕は祈った。
それなのにもう会えない。
逆らったけど今ならわかる。あなたの言葉は真実だった。
何処へ行けばいいのか。
何を得られるというのか。
自分の道進むだけ
心と身体裂かれようと。
モーツァルトの混乱
あわれな男、愚かな男、恥を知れ…
臆病な力弱き者・・・
アマデがヴォルフガングの首を絞める
混乱したヴォルフガング。
コンスタンツェがヴォルフガングに寄り添おうとする。
ヴォルフは、アマデに向かって「お前は悪魔だ」「お前が家族を引き裂いた」「悪魔」と叫び責める。
レクイエム ニ短調より「Dies irae/怒りの日」
星から降る金(リプライズ)
アマデが指し示す方向に目をやるとヴァルトシュテッテン男爵夫人が現れる。
「大人になるということは倒れた後も立ち上がること」
「音楽に身を捧げるなら 全ての鎖断ち切るの」
「なりたい者になるため 星からの金求め 一人旅に出るのよ」
フランス革命
1789年7月のある日 ウィーン/グラーベン広場
父の死から2年後、フランス革命が起きる。
市民たちは言う。「人は自分の足で歩いて初めて人間になれる」
シカネーダーが「大衆にもわかるようドイツ語でオペラを作るんだ」とヴォルフガングにオペラ『魔笛』の台本を渡し、その後アマデが台本を手に取る。
破滅への道
民衆を取り締まるコロレド大司教。ヴォルフガングに言う。
コロレド「お前はどこへ向かうのか。進む道を誤るな。楽にみえる道の行方には 破滅だけが待ち構える」
ヴォルフガング「僕が書くのは市民の為だ」
コロレド「その才能を浪費してはならない。お前の理解者は 私しかいないのだ」
ヴォルフガング「僕の理解者 あなたではない」「僕はどこへ向かうのか 僕が決める」
2018年新演出の際に追加になった曲。2021年公演は2018年公演のものから少し歌詞の変更がありました。
ヴォルフガングの才能を認めているコロレド大司教ですが、2人が求めるものは異なり決裂。恐らく↓のように2人の考えは異なります。
コロレド:大衆に迎合した音楽を書くこと=楽な道
ヴォルフガング:貴族からの庇護を受け作曲すること=楽な道
ウィーン版では、成功した「魔笛」公演の後にこの曲が使われます。日本版は魔笛の前。ドイツ語直訳タイトルは「安易な道/楽な道」。
あのままのあなた
ウィーン/あずま屋(アウフ・デア・ヴィーデン劇場の裏庭)
オペラ『魔笛』を作曲しているヴォルフガング。
あずま屋でシカネーダーや女優たちといると、コンスタンツェがやってくる。
作曲に専念すると聞いていたのに。女優といちゃいちゃする夫。
あの人はインスピレーション与えてくれるの?
お金なんてない頃の方が 絆は強かった。
あのままのあんたを 愛していたかった。
あなたが愛しているのは自分の才能だけ。
私は才能より愛されなかった。
怒るコンスタンツェに帰れというヴォルフガング。
コンスタンツェが立ち去り、『魔笛』が出来上がる。
この作品では、アマデがコンスタンツェを嫌っている事が徹底して伝わってくるのですが、コンスタンツェもヴォルフガングの才能(=アマデ)を愛さず、そしてヴォルフガングが妻より才能(アマデ)を愛していると示しているのがこの場面かなと思います。
歌劇「魔笛」(KV620)/レクイエムの依頼
『魔笛』は成功し、ヴォルフガングは喝采を受け、シカネーダーから光る魔笛を渡される。
アマデがそれを取ろうとすると、ヴォルフは自分のものだと抱え込む。
その瞬間、魔笛の光は消える。
成功したヴォルフガングの元へ仮面をつけた男が訪れレクイエムの依頼をする。
「パパのために?」「それとも・・・」
男はいう「自分の力で書くのです!」
「魔笛」初演の際、夜の女王を演じたのはコンスタンツェの姉ヨゼファでした。ミュージカル『モーツァルト!』でもヨゼファ役の俳優さんが夜の女王に扮しています。
光る魔笛は2021年の新演出
レクイエムとは鎮魂曲。死者のための曲。
実際に、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが灰色のマントをまとった謎の男から作曲の依頼を受けた作品。未完成のうちにモーツァルトは亡くなります。
モーツァルト!モーツァルト!
モーツァルトの音楽を称える人々の声の中、ヴォルフガングは五線譜に筆を走らせる。
ヴォルフガングの姿をじっと見つめるアマデ。
ヴォルフガングの後ろで歌っている人々。振付が決まっているところと自由なところがあり、それぞれの想いを込めて歌っている。前の演出の方が自由なところがあった。(5月ミュージカルウィークでの話より)
モーツァルトの死
1791年12月4日夜遅くモーツァルトの家
作曲を続けようとするヴォルフガングだが書けない。
ヴォルフガング「このレクイエムを捧げよう 僕自身に」
羽根ペンを自らの腕に突き刺すが血が出ない。
アマデに向かってヴォルフガングは言う「僕は死んで お前も死ぬ」
「僕こそ・・・(ミュージック)」
ヴォルフガングはアマデの手をとり、自分の心臓に羽根ペンを突き刺させる。
ヴォルフガングとアマデは息絶える。
セシリアが現れ、ヴォルフガングのお金をとっていく。
再び冒頭の墓場のシーン。
ドクトル・メスマーは骸骨を発見し、コンスタンツェにお金を払う。
息絶えたヴォルフガングを見つけたナンネール。
近くにあったアマデの小箱の蓋をあけると、モーツァルトの作品があふれ出てくる。(音楽の泉)
様々に解釈できるヴォルフガングとアマデの最期。オリジナルウィーン版では、病の床についたヴォルフガングの腕にアマデが羽ペンを刺し、その血でレクイエムを書き続け、血がでなくなるとヴォルフガングの心臓にアマデが羽根ペンをつきたてます。ヴォルフガングが亡くなりアマデがロウソクの火を消し消える、という最期。
影を逃れて(フィナーレ)
自分の影から逃れられるのか
戦い終わり命果てて
残されるのは お前の不滅の評価
生きてる限り捜し続ける 真実の顔
運命に従う他ないのか
影から自由になりたい
基本情報や韓国版(2020年)の詳しい内容をご覧になりたい方は、下記をご参考願います。
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