弁理士は、知名度としてはマイナーな国家資格です。知的財産の専門家と言われていて理系の仕事のように思いますが、実際は、理系の特許業務と文系の商標業務があるため、理系文系どちらでも弁理士を目指せます。

受験者数は減少傾向ありますが、特許庁への特許の申請件数は毎年25万~30万件はあるため需要は比較的多いです。最近では国内だけでなく、国際特許の仕事も増えているので世界で通用する仕事です。
また、弁理士資格で独立を目指す人だけでなく、会社の法務部や知的財産部で働いてる方も多くいます。統計を見ると、弁理士試験の合格者の半分は企業所属のため、将来的なキャリアップのために取得している人が多いのがわかりますね。
残り半分は、独立開業のために取得する人ですが「特許事務所に勤務する方」や「数年間特許事務所で働いてから独立する方」など様々です。独立直後は、大企業などには相手にされないので、中小やベンチャー企業、個人の発明家の方がお客さんになることが多いです。

他の士業と業務がかぶることがないので、他の士業さんからの紹介で仕事が舞い込んでくることがあります。弁理士の資格取得後は他士業とコネクションを持っておくとスムーズに営業できますよ。
弁理士試験の難易度と合格率
弁理士の合格率は、6~10%です。
弁理士の勉強時間は、3000時間程度と言われていて、司法書士に近いですね。だいたい1年~2年かけて合格を目指す試験です。
勉強のボリュームが多いので、全体像を把握すること、そして基礎が盛りだくさんの論文を短答と並行して進めたほうが効率がよくなります。
令和3年から問題が難化したため短答式の合格率が10%~11%になり、全体の合格率が一気に下がりましたが、今は科目の免除制度があるので昔よりは合格しやすくなっています。
実施年 | 受験者数 | 合格者数 | 最終合格率 |
---|---|---|---|
2019年度(令和元年度) | 2,895 | 531 | 18.3% |
2020年度(令和2年度) | 2,259 | 411 | 18.2% |
2021年度(令和3年度) | 2,686 | 304 | 11.3% |
2022年度(令和4年度) | 2,754 | 284 | 10.3% |
弁理士試験の基本情報


5月に短答式の筆記試験、6月に論文筆記試験、10月に口述試験があります。
最後の口述試験は、試験管が2名いて口頭で問題を出されます。今までは95%~98%通ると言われてましたが、令和3年は口述試験90%と口述で落とされる人が多かったので、今後は油断はできませんね。
各試験の合格率を見ると短答試験が18.3%で、その合格者の中から論文試験に合格するのが25.5%になっているので、かなり難しい試験だというのがよくわかりますね。
短答試験 5肢1問*60問 | 18.3% |
論文試験(必須200点・選択100点) | 25.5% |
口述試験 10分*3回(3科目) | 95.6% |
短答については、各科目で足切りの基準点があるため全科目を平均的に勉強する必要があります。捨て科目を作れない仕組みになっています。
論文の選択科目は、理系の科目が多いので理系のほうが有利ですね。文系なら民法を選択するのが良いです。



選択科目は、理工と民法があります。技術士、一級建築士、電気主任技術者、情報処理技術者(ITパスポートや基本情報、シスアドはNG)、薬剤師、司法試験、司法書士、行政書士などの公的資格があると免除されます。
弁理士試験の免除制度
一発合格はなかなか難しいですが、他の国家資格と違って合格による免除制度があるので2年以上かければ、合格するのはさほど難しくはありません。
会社務めの会社員なら、1年目に短答の勉強、2年目に論文の勉強という形で分けてやれば、勉強の負担もかなり減らせるのがいいですね。このシステムがあるので、独学でも合格は可能です。
- 短答:合格から2年免除
- 論文(必須):合格から2年免除
- 論文(選択):1度合格すれば免除
2023年 弁理士試験の独学テキストはどれがいい?
短答試験は、独学でも一発合格可能ですが、行政書士などの国家資格と違って市販の参考書が少ないです。
特に論文では条文、判例、趣旨が暗記では対応できない形式で出題されます。論文は市販のテキストオンリーだと厳しいので、論文については、通信講座を検討したほうが良いと思います。
四法対照の本
独学に限らず持っておくと良い本です。特許法、実用新案法、意匠法、商標法をまとめて横断して見れるので便利です。
勉強法で分かれるところですが、一通り知識が入ってきたら条文の素読をする人もいますね。


2023年 弁理士試験の通信講座はどれがいい?
短答は暗記で乗り切れますが、論文は出題パターンを把握して対応する必要があります。
特に平成13年度から事例形式が増えているため、このあたりのパターンへの対応は必須になります。また、令和3年は特許法が難しくなったりと調整してきているので最新の通信講座を受けておいたほうが良いですね。
スタディング 弁理士 基礎・短答・論文 総合コース


(合格者の声に掲載数)
基本的には講義を1.5倍速~2倍速で聞いて時短をしつつ、短答式は、スタディングの過去問10年分ぐらいを3回~5回回せば、合格レベルになります。
論文は、頻出15パターンというのがあり、国語が苦手でも大丈夫なようになってます。基本は写経のように書き写してテンプレートを覚えながら、条文を意識しつつ書き漏れがないかをチェックする作業ですね。ただ、15パターンについては、合わなかった人の口コミもあったので、まずは「頻出15パターンで学ぶ!弁理士 論文合格法」の無料講座を見ておくのが良いですね。
独学では学べないスタディングのシステムとメソッドがあるので、すきま時間を使って初心者でも挫折しないで合格できますよ。
スタディングの評判と口コミはこちら>>
スタディング管理業務主任者合格コースの口コミ



2022年はスタディングの弁理士講座受けながら貯金して2023年こそはLEC受講と本試験受験”と勉強開始して約半年 基礎・短答合格コースをさらっと一周した状態でLECの論文本試験徹底分析会に参加してきた 壁の高さが段違い
引用:https://twitter.com/



スタディングで弁理士論文試験合格した人がいて燃えてきた。結局は繰り返しの積み重ねなんだな。課金した金額で決まるわけではないというのが救いなんだよ。
引用:https://twitter.com/
資格スクエア 弁理士講座
話しがわかりやすい林先生とベテランの菊池先生が講師をしています。
資格スクエアは弁護士の鬼頭さんが作った資格勉強サイトということもあり、法律系が強いです。
両先生ともホワイトボードの板書スタイルなのは珍しく、youtubeでもよく見かける短答式の林先生の講義は初心者にもわかりやすいですね。論文の菊池先生の講義も口語調で噛み砕いて説明してくれますし、渋い声なので聞きやすいです。
手書きなので、文字が見づらいという人もいるかもしれませんが、テキストがよくまとまっているので気にはなりませんでした。



資格スクエア弁理士講座(継続)、申込み完了。 改めてがんばります。
引用:https://twitter.com/



そういえば弁理士試験の予備校ってどこが良いんやろう
LEC?資格スクエア?
実績重視→LEC ・コスパ、オンラインコンテンツの豊富さ重視→資格スクエア かなと!引用:https://twitter.com/
アガルート 弁理士試験 総合カリキュラム/短答カリキュラム


3名の先生が講義をしていて、youtubeでもサンプル動画をみれます。
講義形式が単調な部分もありますが、全体的にもれなく丁寧に講義をしている印象ですね。



「丸野悟史講師は,司法試験・弁理士試験の両方に合格しており」弁理士法7条に基づく実務修習じゃなくてフルの弁理士試験(短答→論文→口述)受けて合格されてるのかな?だとしたら相当すごいな、、選択論文は知財にするかもなのでアガルートで全部揃えちゃおうかな
引用:https://twitter.com/



アガルート弁理士試験講座教材到着。先行配信で音声を繰り返し聞いていたが、今日から本当のスタート。2021年の合格を目指す。それにしてもテキストは充実しているし、丸野先生の講義の進め方が私にはとても合っている。とりあえず、最初は全体を何度も回す。
引用:https://twitter.com/
弁理士の実務研修と将来性
弁理士の実務研修は、だいたい3ヶ月程度。
試験と違って、お客さんからヒアリングした内容を権利書にするため、実務では資格試験で学んだ知識が直接役に立つことはありません。書類作成や特許庁とのやりとりを通じて実務経験を積んでいきます。
いきなり独立はハードルが高いですが、アマゾンセラーの商標登録などのIT系の案件もあるので、そういったところを攻めていくとニッチな領域で稼ぐ事ができますよ。
AIで仕事がなくなるとも言われていますが、実際の業務は非常に曖昧な部分も多く、特許庁とのやり取りも多いです。コンサルティング的な側面もあるため将来的に仕事がなくなる可能性は少ないと思います。定年もないため一生使える資格なので取得しておいて損はありません。
また、相性の良い資格としてTOEICなどの英語系資格、訴訟をおこせる弁護士、コンサルができる中小企業診断士あたりが相乗効果を発揮します。
弁護士資格はハードルがかなり高いですが、中小企業診断士であれば比較的簡単に取得できますし、仕事の幅も広がるのでおすすめです。