司法書士試験は、行政書士を取った方や、司法書士の元で働く司法書士補助者、主婦の方など多くの方が取得している資格です。

難関資格だけあって、一度取ってしまえば一生物で定年後も仕事になるため長期的な目線でみれば持っておいて損はない資格です。
もし資格を取得して司法書士の事務所に勤務する場合は、勉強したわりに稼ぎはそこそこ(年収400万~)なので、現在仕事をしてる方は、その仕事を辞めてまで転職するメリットは低い気がします。
どちらかというと、将来的に独立して自分の司法書士事務所を立ち上げるなど、独立志向が強い方におすすめの資格です。
司法書士事務所のメイン業務は「不動産登記の立会や書類申請・商業登記・140万円以内の任意整理(※認定司法書士のみ)」がありますが、近年の登記立会は、補助者ではなく司法書士が現場に直接赴くことが増えているため以前よりも需要は増えています。就職や転職はしやすい職種だと思います。
認定司法書士は、次のような「簡裁訴訟代理関係業務」を行うことができます。 簡易裁判所において、訴額(請求額)が金140万円までの民事紛争について、民事訴訟手続、即決和解手続、支払督促の手続、証拠保全の手続、民事保全の手続、民事調停の手続などを、あなたに代わって行います。 簡易裁判所において、あなたの代理人※として、少額訴訟債権執行(給料の差押えなど)の申立てを行います。
引用:認定司法書士とは|愛媛県司法書士会
2022年 司法書士試験の難易度と合格率
司法書士試験は合格率4~5%の難関試験です。
平成23年から25年までは、合格率3%程度だったので、合格率はあがっています。1%程度の差でも合格者数でみると100人以上は増えている事になるため以前よりも合格しやすくなっています。
年度 | 出願者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
令和3年(2021) | 14,988人 | 11,925人 | 613人 | 5.14% |
令和2年(2020) | 14,431人 | 11,494人 | 595人 | 5.17% |
平成31年(2019) | 16,811人 | 13,683人 | 601人 | 4.39% |
勉強時間は、一般的に3,000時間以上必要とされています。仕事をしながらだと5,000時間は見ておいたほうが良いです。
一発合格は難しいため最低でも1年半~2年間で合格できるよう計画を立てるのが一般的ですね。
仮に1日3.3時間=毎月100時間コツコツ勉強しても、2年で2400時間の勉強時間にしかならない事を考えると、仕事をしながらの試験勉強がいかに大変かわかると思います。

司法書士試験は相対評価です。合格点が年度によって推移するので、何点以上とれば合格というのはありません。(行政書士試験は絶対評価で180/300点=全体の6割とれば合格できる)
高卒でも取得可能
司法書士は、難易度が高いと言われていますが、学歴などの頭の良さは関係ありません。
例えば、司法試験は、東大や早稲田などの高学歴の人が多く受けているためライバルは強敵ばかりですが、司法書士試験になると合格者層は様々で、30代~40代の主婦の方や仕事をしながらのサラリーマンなど様々だからです。
中には、高校中退や高卒でも取得して独立している人はいます。ただ、高卒の方が司法書士に合格したときは、毎日12時間を2年続けたといっていたので、それぐらいの勉強時間は覚悟したほうがよさそうです。(12時間✕30日✕365日=4320時間✕2年=8640時間😅)
結局、試験が難しいというよりも、多くの人が膨大な出題範囲を見て最後まで勉強を完了できずに受験を諦めてしまうの試験なので、最後まで勉強をやりきる根性さえあれば偏差値は関係なく合格が可能な資格といえます。
司法書士試験のスケジュール
司法書士は、受験資格がありません。社労士だと短大卒と同等の学歴などの受験資格があったので、それに比べると誰でも取得できる資格です。
試験日 | 筆記試験(令和3年7月4日)、口述試験(令和3年10月25日) |
出願者数 | 14,988人 |
受験者数 | 11,925人 |
筆記試験合格点 | 令和3年は満点280点中208.5点以上(相対評価なので基準点は年度によって変わる) |
多くの人が1年以上をかけて試験に望みます。
専業で勉強するなら1年~1年半の学習期間、兼業で仕事をしながら勉強する人は2年以上の学習期間が必要とみたほうが良いです。
週5日働いている人や主婦で小さい子供がいる人なら、2年の勉強期間をとるのが確実です。
司法書士試験の試験内容
試験の科目は、主要4科目「民法、不動産登記法、商法、商業登記法」で8割ぐらいを占めます。民法のウェイトが高いので、行政書士を取得していて民法を勉強していると多少は勉強しやすいですね。
ただ、司法書士の民法は過去問30年分ぐらいの出題範囲なので行政書士の民法よりも大変です。
残りの2割の出題は、主要4科目以外の7科目(民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、供託法、司法書士法、憲法、刑法)から出ます。こちらはマイナー科目と呼ばれていて全体の2割程度しか試験にでませんし勉強量は少なめです。
主要4科目をいかに攻略するかが鍵になってきます。
択一形式(午前・午後)
午前と午後の択一式があり、午前と午後で基準点があります。
午前は、目安で「26~30問/35問」
午後は、目安で「22~26問/35問」
を超えないと記述式の採点をしてもらえません。
午前 | |
---|---|
憲法 | 3問 |
民法 | 20問 |
刑法 | 3問 |
商法・会社法 | 9問 |
午後 | |
---|---|
民事訴訟法 | 5問 |
民事執行法 | 1問 |
民事保全法 | 1問 |
司法書士法 | 1問 |
供託法 | 3問 |
不動産登記法 | 16問 |
商業登記法 | 8問 |
記述式
司法書士は、記述式がかなり大事になってきます。
記述式だけで、全体の勉強の3割ぐらいの時間を費やす必要があります。
記述式 | |
---|---|
不動産登記法 | 1問 |
商業登記法 | 1問 |



試験免除は、2種類あります。1つは、一定年数を公務員として勤務した人は試験免除。前年度の筆記試験合格者は筆記試験だけ免除が可能です。前者は、最場所で働く裁判官の補佐業務をする公務員や簡易裁判所の裁判官に限るので、こちらは一般受験者には難しいですね。
2022年の司法書士試験の通信講座
司法書士試験は、膨大な範囲があるため通信講座や予備校に行ったほうがいいのか?迷いますよね。
中には、独学で合格する人もいますが、勉強スケジュールや要点をすべて自分でやるのは非効率ですし、モチベーションを保つのがかなり難しいです。
実際、司法書士試験の受験勉強を始めたうちの2~3割ぐらいは、途中で挫折して勉強をやめてしまいます。(独学は特に)
それなら、自己投資で20万~40万を払って一発合格を目指すのが賢いやり方だと思います。今は昔と違って、通信講座も料金が安くなったので比較的勉強の土台は作りやすいですよ。
2022年 司法書士の通信講座
司法書士の通信講座で有名なのは、伊藤塾、スタディング、アガルートですね。
料金の安さなら10万前後で受講できるスタディングがダントツで安いです。スタディングで実際に司法書士に合格している人もいますので、本人の努力次第といった感じです。
他に、伊藤塾などの丁寧な塾はだいたい40万前後が相場です。高額系のところはサポートもしっかりしているので、お金に余裕がある人や、試験勉強の不安が大きい人に向いてます。
各社の司法書士オリエンテーション動画を見てみましたが、個人的には松本雅典さんのリアリスティック一発合格松本基礎講座が一番しっくりきました。
塾や通信講座で一番重要なのは、講師が自分に合うかなので、講義の触りぐらいは一度聞いてから選ぶのが良いですね。
スタディング司法書士講座 総合コース


累計16名(合格者の声に掲載数)
最新令和3年度8名(合格者の声に掲載数)
伊藤塾 司法書士入門講座(スタンダード、Web一括配信、ステディコース)
伊藤塾セレクションと必出3300問も評判が良く、使用者が多いです。




アガルートの司法書士 入門総合講義/入門総合カリキュラム


司法書士の独学テキスト
最近はyoutubeやツイッターを見ると司法書士試験に独学で合格したという声も聞きますね。通信講座のおともや、独学にも使える司法書士試験の参考書・問題集をまとめてみました。
早稲田セミナー山本浩司のオートマシステム
受験の神本という人もいる山本先生のオートマシステムです。山本先生ご自身が6ヶ月で司法書士に合格していて、作家先生でもあるので、非常に読みやすく勉強しやすいテキストになっています。
LECでも40万前後の山本オートマチックという講座を持っています。
概要と論点がわかりやすいのでオートマと六法をメインに合格した人もいます。種類がいろいろあるので、まずは一冊見て自分にあうかを確かめて見てくださいね。


新でるトコ一問一答
オートマの補完として使ってる人が多いです。


オートマ記述式


山本先生によるオートマの解説動画も色々でてます。
司法書士試験講 師松本雅典のリアリスティックシリーズ
5ヶ月に司法書士で合格したという経歴を持つ、まだ30代の非常に若い先生です。
勉強法に独自理論があり司法書士に効率的に合格する方法を提唱しています。辰已法律研究所で司法書士の講座もやっていて、講義のさわりをみたのですが記憶の理論がわかりやすいですね。
司法書士5ヶ月合格法という本も何度か改定されて出版されています。
リアリスティックの本は、民法を含め16冊もあります。途中、民法改正などがあり難航しましたが、2016年から書き始めて令和3年の12月に全巻が出揃って完成していますが、クオリティの高い書籍を16冊まで書き上げて出版したのはすごいことですね。
松本先生の講座はこちらで簡単にまとめました。
勉強時間5000時間のリアル
司法書士試験に合格した12人に、合格に費やしたインタビューをするという動画がありました。
実際は兼業だと4~5回の受験で、勉強時間も5000~7000時間の人が多いので、3000時間で合格できるのはかなり優秀なほうですね。合格にここまでの勉強時間が必要になると、あまりコスパが良い資格とはいえないかもしれませんが、みなさん挫折したり、心を折りながらも合格しているので尊敬します。
司法書士の将来性は相続業務?
司法書士業界は、高齢化が進んでいて20代の合格者はほとんどいません。合格者の年齢も30代から40代に上がっていますし、司法書士の資格を取得してから独立する人も減っているのが現状です。
そんな司法書士の代表業務といえば不動産登記ですが、最近では司法書士の業務の一つだった法人登記を司法書士なしで行えるシステムもでてきています。
GVA法人登記といって、法務局にいかず司法書士に頼まず格安で登記申請ができるというものです。
公式サイト:https://corporate.ai-con.lawyer/



現在は、ゆうぱっくが送られてきて印鑑をする手間はかかりますが、将来、登記の変更で印鑑が不要になればもっと簡単に申請ができるのは確実です。
このシステムを使うと簡単に「会社の住所変更や商号変更、代表取締役の住所変更、本店移転」などができるのでかなり便利なのですが、こういった司法書士泣かせのシステムが増えてくると、将来的に仕事がなくなってしまう可能性もあります。
逆に、司法書士のバブル再来か?といわれているのが2024年から実施される相続登記の義務化です。一般的にあまり知られておらず、罰金も10万程度なのでどの程度必要性に迫られて登記変更を行うかはわかりませんが、以前に司法書士の過払い金バブルもありましたので、こういった需要が来れば飛躍的に稼げる仕事になるかもしれません。